2008年3月9日日曜日

アイヌ文化一目で 小中生向け副読本、写真豊富に

アイヌ文化や歴史に理解を深めてもらおうと、アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌)が全道の小中学生らに約十四万冊を配布している副読本を七年ぶりに全面改訂する。写真やイラストを大幅に増やしたほか、現代のアイヌ民族の暮らしぶりなども盛り込み、子供だけでなく教員にも身近で分かりやすい内容に一新した。アイヌ民族に関する教育は学校現場に十分に浸透していないため、関係者は副読本の活用を呼びかけている。
 同機構の副読本「アイヌ民族 歴史と現在」は、教科書で一部しか触れていないアイヌ民族に関する正しい知識を身につけてもらう目的。小学四年生と中学二年生向けの二種類を作製し、二〇〇一年から配布している。
 改訂版では従来、一ページ一枚程度だったカラー写真やイラストを各ページの三分の一程度を占める分量に増やし、独特の文様を使った伝統的な衣服、食事、儀式の様子などが一目で分かるようにした。文章の構成も、小学生向けは歴史よりもアイヌ民族の暮らしや文化の紹介を充実し、社会科だけでなく、音楽や家庭科などの教科でも扱えるようにした。
 中学生向けでは、首都圏でアイヌ民族の伝統の踊りとヒップホップなどを組み合わせた若者グループの活動や若者の暮らしぶり、アイヌ語復権に向けた取り組みなど、現代のアイヌ文化の新たな広がりも盛り込んだ。
 同機構が〇四年に行った調査では、副読本を授業で活用していた学校は約三割。「内容が難しい」「教え方が分からない」などの反応が多かった。このため改訂作業には、アイヌ民族や研究者だけでなく学校教員が複数参加。「子供たちにとって親しみやすく、誰でも教えやすい内容を心がけた」(関係者)という。
 編集委員長を務めた道ウタリ協会の阿部一司副理事長は「差別の歴史や権利回復を訴えるだけでは子供たちに伝わらない。まずアイヌ民族に関心を持って、しっかりと学んでもらうきっかけにしてほしい」と話す。
 副読本はB5判約五十ページ。四月以降、各市町村教委を通じて配布する。今回から私立の小中学生や特別支援学校に通う子供たちにも配る。

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